吟遊詩人による北欧神話弾き語り「神と巨人とラグナロク」&交流会イベントレポート。オーディンやロキを筆頭にした、厳しくも壮麗な物語
皆様、こんばんは。
6月8日(土)に行われた、吟遊詩人 妙遊様による弾き語り&北欧神話交流会のイベントレポートを語りたいと思います!
なんと、6月8日は「ヴァイキングの日」であるそうです。
793年のこの日、ヴァイキング達はイギリスのリンディスファーン修道院へ侵攻し、略奪の限りを尽くしました。彼等について記述された最初の文献ということで、ヴァイキングの日として制定されたそうです。
イギリス方面から見たらちょっと記念日とは言い難いですが、ヴァイキングの日に北欧神話のイベントが行えたことをとても嬉しく思います。
しかも、偶然なんですよ!
日にちは妙遊さんからの提案であり、私はてっきり合わせたのだと思っていました。しかし、聞いてみたら「たまたまその日だった」と。偶然?いやこれは…。
運・命…!!?
これはもう、神々の作為と悪戯心をたっぷりと感じる、奇跡のような出来事ではないですか!「すごおおいい!」と大騒ぎをしてしまいました。
神々の導きをがっつりと受けた、イベントの詳細はこちらになります。
イベント開始前
当日は、雲一つない爽やかな晴天。日中30℃近くなるくらいの、からっからな晴天でした。今のところイベントで雨天だった事がないので、本当にありがたいです。こういう時は(自称)晴れ女で良かったなぁと思います。
いつもながらにイベント開始前にがっつりと準備行います。お皿とカップの確認、机や本棚の配置、受付表の確認、コーヒーを煎れたり、パイをカリッとさせる為に今一度トースターに入れたり…。
やり忘れていることってなかったっけ…?と不安になっている頃に、妙遊さんと強力な助っ人の方2名がみえ、あっという間に時間になってしまいました。
あわわわ、いざ本番です!
「神と巨人とラグナロク」弾き語り
今回も多くのお客様がご参加してくださり、本当にありがたいです!リピーターの方や、遠方からお越しの方もみえました。皆様には、感謝してもしきれません。
ばたばたはしたものの、強力な助っ人の力添えもあり、無事にミートパイ&アップルパイをお客様へとお届けすることができました。パニック気味で「いらっしゃいませ」の日本語が危うくなっていたのは目をつむってください…。
吟遊詩人 妙遊さんの弾き語り。
開幕からエッダ冒頭の部分を厳粛な雰囲気で語られ、一発でがしっと心を掴まされました。いや、もう格好良すぎます!こちらに語り掛けてくる様子がたまりません!
お話されたざっとした内容は、世界の成り立ちや神々の紹介→ロキの子供達→アスガルズの城壁作り→イズンの林檎→ウトガルザ・ロキの話の一部&ヒュミルの歌をちらっと→休憩→バルドルの死→ロキの口論(ロカセナ)→ロキの捕縛→ラグナロクといった流れでした。思い出しながら書いているので、順番が違っていたり、抜けていたりするかもしれません。
どのお話も素晴らしかったですが、個人的には前半はヘーニルのキャラとイズンのキャラが好きでした。ヘーニルはちらっとだけの登場でしたが、喋り方が面白い。いいキャラ出しています^^イズンも「りんごをどうぞ♪」と動揺しない無邪気な性格で可愛かったです。
あ、トールが猫(ヨルムンガンド)を持ち上げようとするシーンも良かった!妙遊さんの惹き込まれる語りと動きを見ていると、こちらまで力が入ってきます。
後半は、やっぱりラグナロク!フィンブルの冬の到来から巨人たちが集結するシーンも圧巻でしたが、やはり私は全世界へ吹き鳴らされるギャラルホルンに心を打ち抜かれました!(ヘイムダル推し) わあああ~!嬉しい!
しかしビフレストの番人様。エッダを読んで思ってしまうのですが、若干角笛吹き鳴らすの遅くない?と…。敵がビフレストへ突っ込んできてから告げるのですか…?失礼しました。でもそれも良いです(?)
ラグナロクで神々が敵と相対し、散って行く様も素晴らしかったです!トールの九歩下がって息絶えるシーンは臨場感があり、猛々しくて良かった。そして、ロキとヘイムダルの対峙!古エッダでは記述がなく、スノッリのエッダで「相討ちした」と書いてあるだけのシーンなのですが、妙遊さんは本を参考にして脚色してくださいました。
ヘイムダルがロキに向かって「私は未来が視える。お前の時代は終わった、お前の負けだ」などと格好いい台詞を言って、私は内心「ぐあああああ~!!」と有難さのあまり悶死していました。録音しておきたかった。(ヤバい奴ですみません)
最後の再生のシーン。人間の男女が生き残り、緑萌ゆる中でバルドルとヘズ、ヴィーザルとヴァーリたち神々が手を取り合い、新しき時代を築いていきます。死から再生し、光は甦ったけれども闇はまだ残っている。昔の神々が遊んだチェス盤が発見され、彼等は過去を思い返すー…。
なんと美しい内容なのでしょうか!そのシーンを妙遊さんが語られて、更に神々しく美しいものに感じました。最後の一抹の寂しさを感じるハープの調べも素敵でした。
少しイレギュラーな物語ですが、イズンとブラギ、ロキとヘイムダルも出てくる、オーディンのワタリガラスの呪文歌の物語も聞きたかったなぁ…。スリュムの歌やウトガルザ・ロキの全パート、クヴァシルの黄金の蜜酒の物語、スキールニルの歌やスカジの物語など、全部聞きたかった…!全部語っていただくと、一体何時間になるんだ…!?無謀とは分かっていても、全部聞きたくなってしまうような、本当に魅力ある弾き語りでした。
色々とだらだら書いてしまいましたが、これ一言に尽きます。
妙遊さん、最高!
北欧神話、最高!
北欧神話交流会
後半の部は、参加者様による交流会でした!
わいわいお話をしたり、各々読書をしたり、妙遊さんによるブックレビューを聞いたりと、和気あいあいとした感じでした。
北欧神話だけではなく、神話全般の話だったり、ハープや他の楽器に関する知識、皆様の趣味や地域の話だったり、中世の話だったりと、皆様の教養の広さに驚かされておりました。私は楽器がてんで駄目なので、楽器ができる人を尊敬します…。
私は皆様の話を聞きながら、私物を出して皆様に見せる不審者と化していました^^;
すみを略奪しようとする、ゆるいヴァイキングを持って来たりしていました^^ 抱っこしていると落ち着くんです…。
楽しい時間は、スレイプニルの脚力より早く過ぎてしまいました。
ヴァイキングの日に、とあるブックカフェで行われたイベントはこうして幕を閉じたのでした。
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スイーツ裏話
さて、ここで恥ずかしいですがイベントでお出しした「ロキの燻製ミートパイ」&「イズンのアップルパイ」を生み出すにあたっての裏話を語りたいと思います。
本番では、焼き色を出すために卵黄を塗ったので写真より焦げ目がつきました。サイズもなんだか違うような気がしますが、結果オーライということで許してください…。
ミートパイ&アップルパイを作るにあたり、結構悩みました。
一番初めは、北欧神話=氷というイメージがあり、透明なスイーツを作るのもいいのかしらと思っていました。しかし、去年のイベントで出した湖をイメージしたランスロット卿のファー・ブルトンと被ると思ってボツ。
やっぱり北欧と言えば肉だよね!ロキと言えば肉!と思い、スイーツ予定なのに肉を使うという禁断の行為に及びました。
あとラグナロクと言えばスルト。ロキもロギ(火)と競争して、炎のイメージが強い。これは燻製にして煙感を出した方が雰囲気出るよね!と考え、やったこともない燻製にチャレンジすることに。今思えば、大冒険しているな私…。
当初はロキのミートパイ オンリー(特大)にしようかと考えていたものの、「やっぱり肉だけじゃ、やばいかしら…。北欧と言えば黄金の林檎のイメージが強いから、イズンのアップルパイも作ろう」と追加しました。かなり紆余曲折を得て今の形になっております。
そして、添え物も紆余曲折がありました。
実は、これを使いたかったのです…。
アイスランドで伝統的に食べられているチーズヨーグルトみたいな食べ物、スキールまたはスキル(skyr)!
ヴァイキング時代から食べられていたとされており、エギルのサガなどのサガにも登場するそうです。名称的にもフレイの従者スキールニルを彷彿とさせ、なんかもうこれを知った瞬間に「これを出したい!!」となりました。
出したい、出したかったのに…。叶いませんでした(泣)
以前は、コンビニや少し高級なスーパーなどでプレーン味のスキールが販売されていたそう。でも、現在でいくら探しても見つからず。ネットで探しても見つからず。
全部終売!!
泣く泣く断念しました。(輸入サイトで探せばあるのかもしれませんが、流石に単価がぶっ飛んでしまう)
現在でもバニラや焦がしカラメルなど、フレーバーが付いたスキールは販売しております。何故にプレーンは終売で、味付きはあるの…?(泣)
気になる方は、ぜひネットかスーパーにて入手してみてくださいね!濃厚な感じでバニラ味は美味しかったです^^以下はバニラ&ドライフルーツです~。
スキールがボツになってしまったので、考えた末に出したのがルーンクッキーでした。
セイヨウトネリコの葉がどうしても手に入らず、シマトネリコの葉になってしまったことも歯がゆかったです。確かにトネリコ属ではあるけれども、ユグドラシルとは少し違うのだ…!
あと「ヤドリギの実って食べられるの?」と思い検索し「食べられんことはないけれど、口がねばねばするし自己責任」と書いてあったので、速攻でやめました^^;
メニュー考察は楽しかったけれども、思うようにはいかず、色々と悩んで勉強になったメニューという印象でした。
そんなこんななミートパイ&アップルパイですが、美味しいと言っていただけて私は浄化されます…。ありがとうございます。
私としては、ぜひまた次の異世界の扉を開きたいと目論んでおります。
どんな物語でも大歓迎です!
ご参加してくださった皆様、応援して下さった皆様、手伝ってくださった助っ人の皆様、そして妙遊さん。
本当にありがとうございました!!
これからも、どうぞよろしくお願いいたします^^