歴史フェスに参加した感想。歴史に携わる仕事の裏側を知ることができた楽しいイベントでした! in名古屋大学

2024年3月17日(日)、名古屋大学の東山キャンパスにて開催された「歴史フェス」へ参加してきました!

こちらのイベントは予約制で、参加費は無料。ZOOM参加も可能でした。

歴史と聞くと小難しい内容で理解しきれないのでは…と不安に感じるかもしれませんが、歴史を楽しく学ぼう!というコンセプトなので、一般の方でも取っ付きやすいイベントになっていると思います。

記念すべき第一回目の歴史フェスに私が潜入してきましたので、今回はその感想を簡単にお伝えしていこうと思います!このようなイベントは気になるけど、一歩勇気が出ない…という方へ、少しでも参考になれば幸いです。

名古屋大学 東山キャンパスにて開催
道行く所に張り紙があり分かりやすかったです。
自分の興味のあるセッションの講義室へ向かいます。私はこちらへ…。
凄く早く到着したのでパシャリできました。講義室の内部はこのような感じ。予想していたよりはコンパクトです。

全体シンポジウム 13:00~

カウントダウンからの音の出ないクラッカーが弾け、ほんわかしたお祝いムードを漂わせながら、歴史フェスがはじまりました。

まずはフェスを行う上で守るべきガイドラインの説明を受けます。内容は「差別しない。ストーカーしない。著作権は守る」などなど…。と当たり前のことばかりではあっても、明言は大切ですものね。

そして何故歴史フェスを行おうと思ったのか、その目的を語っていただきました。「皆で歴史を楽しむ場を作りたかった。大事なのは「協働」である。研究者のみで閉ざされていた「資料」や「場」を開き、一般の人でも気軽に歴史に触れる機会を増やしたい。「歴史する」という行為をやっていきたい」と仰ってみえました。

その後、剣持教授よりフランスの「ブロア歴史集会」についての話を聞きました。このフランスで行われているイベントは、長い歴史を誇る大先輩の歴史フェスであります。そこでは町の人口以上の数万の観光客が集い、数日に渡って書籍の見本市や映画上映、書評や表彰などなどが行われるとのこと。

規模が違いますね…!ぜひ行ってみたいなぁ。

参加者の質問タイムがあり、シンポジウムが終了しました。

いよいよここからが本番です!

前半 14:15~

前半と後半、全部でセッションが8あるものの、私は3つのセッションに参加しました。自分で聞きたいセッションを選んで、自由に行き来することが可能です。見聞きしたもののみの感想となりますので、ご了承ください。

セッション1 歴史創作の現場に聞く!佐藤二葉『アンナ・コムネナ』と歴史考証

私が一番楽しみにしていたセッション。これを聞きたいが為に、歴史フェスに参加したと言っても過言ではありません…!

幸村誠先生作「ヴィンランド・サガ」のアニメ版の時代考証をされた小澤実先生と、漫画「アンナ・コムネナ」の作者である佐藤二葉先生が、お仕事の裏側を話してくださいました。

「ヴィンランド・サガ」は11世紀頃のヴァイキングをテーマにした漫画で、主人公トルフィンは実在したとされるアイスランドの探検家をモデルにしています。当店にも置かせていただいており、私が好きな漫画の一つです。

小澤先生のお話で印象に残っているのは、「2秒に10時間かけた」という手紙を書くシーン。とある契約書に真実味を持たせる為に、監督に提示された日本語をラテン語に翻訳し、時代に則った形式で文章を作られたそうです。

その考証にかなりの時間がかかったというのに、手紙のシーンはたったの2秒…。私だったら発狂しそうです…。細部まで手を抜かない、研究者の心意気というか高潔なる魂を感じましたね。

他にもノルド語で詩を作って、アイスランド大使館の方に音声をご協力いただく話とか、幸村先生とのエピソードとか、興味深いお話がてんこ盛りでした!

「細部に神が宿るとするならば、歴史考証の役割はその細部への協力」という小澤先生のお言葉が心に残りました。格好いい…!

細部に神を宿らせるからこそ、アニメの世界に息が吹きこまれるのですね。小澤先生、ありがとうございました!

そんな「ヴィンランド・サガ」のアニメがこちらです。

次に、佐藤二葉先生の「アンナ・コムネナ」。

こちらは11世紀のビザンツ帝国に実在した、中世最初で最後の女性歴史家であるアンナ・コムネナさんを描いたフルカラーコミックです。

1ページのカラーを描くだけでも大変なのに、全ページフルカラーですよ!凄すぎますって…正気じゃありませんよ…!(失礼)

佐藤先生は漫画家、小説家、音楽家、舞台役者、演出家、リューラー奏者とかなりマルチでご活躍されている、恐ろしいくらい凄い女性です。登壇された際にはビザンツ風の装飾のある煌びやかなお召し物を着ており、その身振り話しぶりからも古代ギリシア悲劇に対する愛と熱意が物凄く感じられました。

愛と同じくらい努力も感じられ、私も曲りなりにも歴史に携わった仕事をしておりますので、その姿勢にとても尊敬の念を抱きました。

佐藤先生は「アンナ・コムネナ」をどう作って時代考証をしているのかという事を、とても見やすくて魅力的なスライドと共に説明してくださいました。歴史漫画の作り方とかもう興味しかありません。

アンナさんは実際に実在した人物ですし、ビザンツ帝国の歴史も鑑みる必要があります。自ら詳しく調べ、それでも分からないことは専門家の方に聞く。分かる事もあるし、それでも分からない事も出てくる。漫画の内容と考証を擦り合わせていくのが難しいと仰ってみえました。

とにかくその時代についてアンナについて調べまくって、彼女と対話ができるようになった。本を通してアンナと対話をしながら漫画を作っています。と佐藤先生は仰ってみえました。私も以前、漫画や小説を少し書いていた時期があったので、なんとなく分かるなぁ…と思いながら聞いていました。佐藤先生のような高みに行くにはまだまだ勉強不足でへにょへにょなので、頑張って階段を登っていけたらいいなぁと思います。

勇気と熱意のおすそ分けをもらい、とても勉強になったお話でした。佐藤先生、ありがとうございました!

「アンナ・コムネナ」はこちらです!

後半 16:15~

セッション5 歴史研究者の若手支援現場に聞く!歴史家ワークショップの活動紹介

歴史家ワークショップと聞いて「歴史グッズをブースにて販売するお話なのかしら?」と少し思っていましたら、歴史研究者の卵さんを支援し、支えていく活動でした。(詳細を読んでおらず失礼しました…)

研究者になるには、やはり外国語にて発表や論文を書いてキャリアを地道に積んでいく必要があるのですが、今までは練習する機会があまりないままぶっつけ本番、みたいな感じであったようです。慣れない発表に失敗を恐れ、大変であったとか。しかし、歴史家ワークショップ様が論文の添削を行い、失敗しても大丈夫という発表の場を設けたことにより、若手研究者の方はとても助かっているそうです。

教育の地盤を強固にすることで、世界へ羽ばたいていく研究者の方が増えていけば良いですよね^^

セッション6 いま、考古学3Dが熱いーその概要と実践

次に向かったのは、3Dを活用した考古学のお話。

最初に「石棒神経衰弱」なるものが行われていたようですが、私達が入室した時には終わっておりました。なんでも箱で目隠ししたまま数種の石棒を触り、その後QRコードで3Dの石棒を検索。どの石棒を触ったのかを考えて、答えるというゲームであるとか。面白そうだったなぁ…。

次に、考古学における平面図と3Dの歴史を学び、3Dを実際にどのように研究で使用しているかとか、美術館や博物館での活用法などを教えていただきました。古物品が3Dデータ化され、全国のデータベースで自由に見れるようになるのはとても嬉しいことですよね!私はおそらく3Dを見た後、実物が見たくなってしまいます…。

次に、岐阜の「飛騨みやがわ考古民族館」を管理されている方にお越しいただき、過疎化が進む地域における考古学の在り方というお話をしていただきました。こちらの民族館は市役所から27キロ(?)ほど離れたかなりの山奥のようで、過疎化が酷いそうです。

民族館での一押しの展示品は1000点以上ある「石棒」。こちらは縄文などの古代に祈りの為に作られたとされています。

はじめは民族館の認知度は無いに等しく、年間30日しか空いていない為に来館者数は200人くらいであったとか。

しかし、SNSにて積極的に宣伝し、石棒を全て3D化して公開し、常識の範囲内での使用であるなら無料ダウンロードOKとしたことで状況はかわります。ネットでの検索数は町の人口を軽く超え、来館者数も3~4倍に増えたそうです。何の需要があるんだと思われた石棒でしたが、ダウンロードする方はきちんとみえ、勉強やゲーム作成にも使われたそうです。

機会がありましたら、ぜひ行ってみたいですね!

≪飛騨みやがわ考古民族館の情報はこちら≫

飛騨みやがわ考古民俗館 | 美術館・博物館 | アイエム[インターネットミュージアム]

アイエム[インターネットミュージアム]による飛騨みやがわ考古民俗館の情報ページ。飛騨みやがわ考古民俗館の見どころ、開催される展覧会などを紹介しています。飛騨み…

≪石棒クラブのHPはこちら≫

石棒クラブ | 石棒で博物館をサステナブルに(飛騨市で生まれた地方創生プロジェクト)

石棒クラブは2019年3月に岐阜県飛騨市で誕生したプロジェクトです。 石棒の聖地である飛騨みやがわ考古民俗館という場所を舞台としていかにして関係人口を増やしていける…

まとめ

一体全体どんな感じなのだろう…。と、セッションの内容をざっと読んでいても、具体的な事は不明瞭に感じていた歴史フェス。

他のセッションに参加された方はまた違った感想を持たれるかもしれませんが、私は普段知ることができない歴史を生業とする方々の仕事の裏側、若手研究者の支援や研究の現状を分かりやすく学ぶことができた、興味深く面白いイベントでした。

質問タイムのやり取りや、若手研究者の学術的な説明などは少し専門的に感じられる部分がありましたが、学術世界を垣間見ることができてそれはそれで良かったと思います。

歴史愛好家の方だけではなく、「興味があるけど歴史は難しい」と感じている方に入口として示すことができるのではないでしょうか。個人的に研究者の方々のお仕事に興味津々なので、もっと教えて欲しいです!

来年行われるようなことがあれば、可能でしたらまた参加したいなぁと思います。歴史フェスに携わった方々、本当にお疲れ様でした。

素敵なイベントをありがとうございました!

追伸:展示室にて当店のチラシを置かせていただきました。本当にありがとうございました…!

≪歴史フェス公式HP≫

歴史フェス

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