ブックカフェに言及した装飾写本が発見される!?500年以上前のフランドル地方(オランダ)にテューアは実在したのか?

皆様、歴史的な大発見がありました!

去年の10月頃、オランダのデンボスにて、とある民家の地下倉庫の奥底から古ぼけた彩飾写本が見つかりました。経年劣化による痛みはあるものの、状態は悪くなく、挿絵や文字の読み取りが可能でした。

この写本は発見された場にちなみ「デンボス写本」と名付けられました。

そして今日の4月1日。

専門家の研究により、デンボス写本の詳細が露わになりました。

写本サイズは横210mm×縦297mm。550ページほどで、子羊の羊皮紙。15世紀後半~16世紀前半に地元の名士がギルドに依頼して、作られたと考えられております。

デンボス写本を発見した民家の住民は、系譜を辿ると地域の権力者の側近の子孫であるそうで、なんらかの理由で側近が写本を手に入れ、地下倉庫に保管したのでしょう。写本は長い眠りから覚め、我々の前に姿を表してくれたのです。

デンボス写本の大部分はギガス写本の写しでありました。

ギガス写本は13世紀の初め、ボヘミア(現在のチェコ)のベネディクト修道院で作られたとされています。聖書にも関わらず悪魔の挿絵が描かれており、伝説も相まってギガス写本は別名「悪魔の聖書」とも呼ばれています。この写本はかなり大判となっています。

ギガス写本 挿絵

デンボス写本も悪魔の挿絵が同様にあり、ほとんどのページはギガス写本と一致しています。しかし、残りの数十ページの内容に学者達は驚きを隠せませんでした。

他の写本と類を見ない奇妙な内容が含まれていたからです。

他に類を見ない部分は、地域で起こった不思議な事象や、民間的な迷信や魔法についての記述でした。噂を集め、編纂されたものであるようです。

その中の一部の記述に、非常に奇妙な内容が書かれていたのです。

以下、写本の内容を抜粋して紹介します。

――私は聞いたことを偽りなく書く事を誓う。

ある時、森の中に建物が出現した。

開拓計画を立てたばかりの未開地であり、建物など存在しているはずがなかった。

あばら家などではない。白壁の奇妙な家で、どうやら店のようであった。

店名と思わしき看板の文字は読むことができない。

人々は噂し、悪魔のまやかしだとか神の奇跡だとか口々に言い合い、大半が恐れて入るのを拒んだ。

その中で、若者二人が大役を買って出た。

なんと勇気があることか!彼等の勇気を褒め称えよ!

彼等が扉を開けると、小人のような者が姿を現した。

その小人は数百年前のノース人のような服装をしていたものの、黒髪黒目であからさまに異邦人であった。

口語は未知のものにも関わらず、奇跡の御業なのか不思議と理解できた。彼等を歓迎し、奥の席へと案内しているようだ。

内部は想像していたよりも広かった。他には誰もいない。茶色を基調としており、机と椅子が均等に置かれ、ランプが吊り下げられている。時の流れが遅い感覚に陥ったという。

奥にはびっしりと本が詰まった本棚が並んでいた。高価な本が立ち並んでいる事に、二人の肝は冷えたそうだ。

促された椅子に座ると、小人は透明の容器に入った水と謎の小袋を机に置き、小型の本を広げて示した。本には様々な飲み物と菓子の絵、未知の文字が書いてあった。それらは恐ろしく精巧だった。

ここから好きなものを頼めと小人は言っているようだったが、彼等は内心どんな匠の画家に頼んだのだ、この水は小袋は何なのだ、一体ここはどういうところなのだと混乱していた。

二人がなんでもいいと伝えると、相手は少し困ったようであったが、奥へと消えていった。

その間、彼等は本棚へと恐る恐る近付いた。本はどれも装飾はそこまで施されておらず、様々なサイズがあった。どれもが手描きの写本ではなく、印刷されたと思わしき本。文字は複雑怪奇なもので、まったく読めなかったという。

ヴェネツィアから小型の印刷本が出回っており、私も数部所持しているが、それとは明らかに異なっていると彼等は言う。紙は羊皮紙ではなく、薄く均一。文字と色のついた写し絵は気味が悪いほど精巧であった。

どんな絵具で塗ったかも知れぬ写し絵は数多くあり、描かれた鮮やかな街並みは我々が見たどんな素晴らしい景色よりも壮観であったという。

それらが本棚に所狭しと並んでいるのだから、眩暈がしてきそうだ。

皆目見当がつかない印刷技術。見事すぎる写し絵。これは魔の所業であろうか。奇跡なのだろうか。私の想像は及ぶべくもない。

小人が何かを運んできた。

ここでも彼等は度肝を抜かれることになった。どれもが見たこともない。茶黒い液体が入った薄い器に、菓子のようなものが置かれた平たい器。

恐怖に駆られ逃げる者だっていただろう。だが彼等はそうせず、未知の物を口に運んだ。

黒い液体は苦くも、豊潤な香りと甘みを持っていたそうだ。菓子は林檎を使ったもので、高級な甘味をふんだんに使ったのではないかと思ったそうだ。柔らかく軽く口どけが良い。その美味さは天上の食べ物かと思われるほどだったという。私も味わってみたいものだ。

二人は小人にどこから来た、ここはなんだと質問した。その者は微笑み、ゆっくり寛ぐように告げただけであったという。

しばらくして、彼等はふと思い至った。何を請求されるのだろうと。

二人は立ち上がって帰る身振りをした。代金として命を取られるのではと不安を覚えていると、小人はブロンズ色の見たこともない銅貨を出してきた。

彼等は戸惑いながら懐から銅貨を取り出し、小人に手渡した。この者はそれを受け取って満足げに頷き、感謝を述べたそうだ。見たこともないような大量の本や高級そうな飲食、空間。それが銅貨の価値で良いのだろうか?

二人は足早に謎めいた店を去り、取り囲んできた民衆に出来事を説明した。

話を聞いた民衆はますます興味を示し、若者達の後に続き店へ入る者もいた。同様の体験をした者もいる。ただ、人によっては店へ辿り着くことができないようだった。

その時、私は遠方にいた。駆けつけて体験できていたのならば、どんなに良かっただろう。後悔だけが残る。

噂はまことしやかに各地に広がっていき、教会の者の耳にも入った。教会側は訝しみ、審問官は噂の場所に足を運んだ。

その場所は、もぬけの殻だった。ただの草木が広がっていたという。

それ以来、奇妙な店を見たという者はいない。

―――――「デンボス写本」より抜粋

この謎が多い記述を巡り、世界中で波紋が広がっています。

500年以上前のデンボスで一体何が起こったのか。謎の建物は時代を超越したブックカフェであったのか。果たして実在するブックカフェなのか。小人は何者なのか…。

地元の大学チームにて、デンボス写本の更なる調査が進められているものの、難航しているそうです。

この記述は、永遠の謎に包まれているのかもしれません。

≪お読みいただき、ありがとうございました!こちらはエイプリルフール記事です。こちらの記事に書いたことは全て嘘っぱちとなっております^^;ギガス写本の存在以外は信用しないでくださいね≫

スミスフィールド教皇教令集 (ca. 1300-40)お借りして失礼しました!

去年のエイプリルフール記事はこちら!

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